玄関におけるポーチの施工で大切な5つのポイント

戸建て・住宅を新築する場合、玄関ポーチにこだわる方は比較的多いといえます。しかし、いざ玄関ポーチのデザインを考えて行くと「どんなことに気をつけたらいいか分からない」と悩まれる方も少なくありません。 そこで今回は、玄関ポーチを施工する際に把握すべき大切な5つのポイントについてみていきましょう。
目次
ポーチとは

ポーチとは、玄関ドアの目の前に広がる空間のことで、屋根や庇(ひさし)を設けている点が特徴です。スロープや階段など様々な要素を追加できます。
玄関ポーチがあることで得られるメリットについては、次の3点が挙げられます。
- 出入りがスムーズになる
- 実用的に活用できる
- 一次的な荷物置き場にできる
玄関の扉の前にスペースがあることで、スムーズな出入りが可能になります。広さによっては、自転車や大量の荷物を置くことも可能です。車椅子での移動を考慮したスロープを設けることも可能であるため、ポーチはデザイン以上に機能性を持たせることが可能なものといえるでしょう。
また、雨天時にはポーチ内で傘をさす、雨粒を落とすため場所としても活用できます。屋根や庇(ひさし)があるポーチであれば、風雪を防ぎつつ、他人の視線からプライベートを守ることも可能です。
1-1.アプローチとの違い
アプローチとは、敷地の入り口から玄関に続くまでの動線とスペースを指します。その点を踏まえて以下のような違いがあります。
【ポーチ】
・玄関のドア付近の空間を指す。柱や屋根、場合によっては壁や目隠しがあるパターンもある。
・玄関ポーチは「建築工事」の範囲に含まれるケースが多い。(住宅会社が担当・階段やタイルなどの仕上げを含める)
【アプローチ】
・アプローチは門などの入口からポーチまでの道のこと
・アプローチは、「外構工事」で施工を行うケースが多い。(エクステリア・外構業者が担当)
戸建て住宅では、「住宅の工事費」と「外構工事の費用」は異なります。アプローチの施工は外構工事に含まれるため、住宅と同時に施工する際は、費用と機能性、デザインのバランスを検討する必要があるといえるでしょう。
ポーチでの施工に大切な5つのポイント

ここでは玄関ポーチを施工する際の5つのポイントについて解説していきます。予算やお気に入りの素材、屋根の有無などポーチだけでも選択肢の幅は広いため、よく検討しましょう。
- スペース
- ドアのデザイン
- 階段の大きさ
- 床材
- 照明デザイン、機能性
それぞれの項目を詳しくみていきます。
2-1.スペース
理想的な玄関ポーチの広さとしては、120cm~180cm以上を目安に確保すると良いでしょう。スペースが広いほど、家族の人数が多くても、移動や出入りがしやすくなります。もっとも家の広さやドアのデザインにも左右されるため、施工を決定する前によく相談しましょう。
例えば、以下のような場合はストレスにつながってしまいます。
・宅配便が届けられた時や来客に応対する場合や同じタイミングで家族が出かける場合、狭く感じる
・買い物から帰宅し大量の荷物を玄関に置いたとき、家の中に入りづらくなる
・そもそもベビーカーや車椅子を置くと余裕がなくなるほど狭い
そのため玄関ポーチは、ライフスタイルも加味したうえでゆとりあるスペースを確保することが大切です。
2-2.ドアのデザイン

玄関ポーチでは、目にする人々への心理的要素も踏まえたうえでドアのデザインにも配慮が必要です。玄関ドアのデザインタイプは大きく分けて3つあります。
・外開き
・内開き
・引き戸
日本におけるドアのデザインタイプは、玄関で靴の脱ぎ履きを邪魔しない設計とするため、ほぼ外開きになります。
仮に、敷地に余裕があるのであれば引き戸を検討するのも良いでしょう。引き戸であれば玄関ポーチのスペースを最大限に活かせます。荷物の受け取り、あるいはベビーカーや車椅子などり出し入れがしやすくなるでしょう。
また、防犯や災害時の機能面を重視したい場合は、内開きのドアを検討すると良いでしょう。スペースによっては、靴の脱ぎ履きをする際にドアが邪魔になる可能性が高くなります。しかし、内開きのドアであれば、蝶番(ちょうつがい)などが家の中にあるため、防犯対策に適しているといえます。
加えて、大雨などで浸水が起きた場合にも、内開きのドアであれば水圧によって締め出される心配が低くなる点はメリットです。「外からの水圧でドアが開けられない」といった事態を避けられるでしょう。
2-3.階段の大きさ
玄関ポーチに階段を設置する場合、1段の高さを15~18cm以内に収めるとできるだけ負担なく上り下りすることが可能です。
特に、小さなお子さんや高齢者の方がいるご家庭であれば、できるだけゆるやかな段差になるよう配慮しましょう。また、バリアフリーを意識してスロープも取り入れると移動が楽になります。
階段とスロープの2WAYであれば、より利便性の高いポーチになります。ただし2WAYを検討する場合には、ある程度広いスペースが必要です。ライフプランに合わせつつ、予算を見ながら検討しましょう。
2-4.床材

玄関ポーチに使う床材については、次のポイントを意識することが大切です。
・雨でも滑りにくい素材を選ぶ
・汚れにくく、掃除のしやすい素材を選ぶ
床材を選ぶ場合、デザインに加え、滑りにくさと掃除のしやすさを重視して床材を選べば、失敗することが少なくなります。実際に、施工する際には業者からもどのような施工結果になるのか聞くことも可能であるため、綿密な打ち合わせが大切です。
また、玄関ポーチには屋根や庇(ひさし)が備え付けられているパターンが多いものの、雨や台風など状況によってはどうしても濡れてしまうこともあるでしょう。そういった場合に滑りやすい素材では、転倒の恐れがあるだけでなく、ケガにも注意が必要です。
そのため、凹凸があるものやザラつき加工が施されているグリップ機能の強い素材がおすすめです。
ちなみに、玄関ポーチの床材は、できるだけ汚れが目立たず、掃除のしやすい素材を選ぶことが大切です。例えば、テラコッタ(素焼きのタイル)を選んだ場合、汚れが目立ちにくく、掃除の負担が軽減することができます。
2-5.照明のデザイン・機能性
玄関ポーチの照明は、以下のように大きく分けて3タイプあります。
・屋外フットライト:段差や足元をテラスタイプの照明
・軒下ダウンライト:ポーチ屋根や庇に付けるタイプの照明
・ポーチライト:外壁に取り付けポーチ全体を照らすタイプの照明
照明のデザインと機能面は慎重に選択しましょう。こだわることで、おしゃれな空間を演出できる・防犯対策になるといったメリットが発生します。
例えば、デザイン性の高い照明を取り入れることで、よりおしゃれな玄関ポーチを演出可能です。お家の外観やエクステリアに対して程よいアクセントとなります。
防犯対策については、人が通ると点灯するタイプの照明を設置しましょう。防犯目的で取り入れる場合は、省エネルギーであることだけでなく、フル点灯と自動点灯が使い分けられるタイプを選びましょう。
ポーチの注意点
ここでは玄関ポーチを施工する際の3つの注意点についてみていきましょう。
- 地域性を検討する
- バリアアリーは設計段階から構想する
- 宅配ボックスの有無を決める
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
3-1.地域性を検討する

玄関ポーチの施工は、地域の特性(天候)を考慮しながら検討していきましょう。日本は四季を明確に感じられる場所が多いものの、地域性を含めて検討することでより快適な生活を送ることが大切になります。
例えば、雨風の多い地域であれば、湿気などで建具の劣化を避けるために、雨が家の中に吹き込まない構造にすることがポイントになります。また、大雨や台風の度に自転車や鉢植えを玄関内にしまえるようスペースを検討することも対策といえるでしょう。
また、雪の多い地域では「風除室」(ふうじょしつ)と呼ばれる玄関フードを設置している家庭も見られます。風除室は雪が家の中に入り込まないようにするための対策として、玄関前に設置される小部屋です。雪だけでなく、雨を防ぐのにも役立ちます。
加えて、以下のように目隠しによるプライバシー確保の視点も意識しましょう。
①住宅が密集している、玄関の向きがお隣や道路に面している
②室内の間取りによって気になる度合いが異なる
環境にもよるものの、室内の間取りによって必要な目隠しの高さや素材も変わってきます。実用的な玄関ポーチにするためには、地域の特性をある程度検討しなければならないといえるでしょう。
3-2.バリアフリーは設計段階から構想する

玄関ポーチのバリアフリー化を検討するのであれば、設計段階から検討することが大切です。例えば、これから戸建てを建てる年代の場合、以下のようなライフイベントがこれから発生すると想定されます。
・子どもが生まれるとき
・車椅子を利用することになったとき
・子どもが自転車に乗れるようになったとき
それぞれの場面で活用できるポーチになっているのか、イメージを固めていきましょう。また、長く居住する場合は自分が高齢となった時に使用しやすいかどうかを検討しておくことも大切です。
そして、バリアフリーを優先する場合、スロープと玄関の両方を設置すると使い勝手がよくなります。施工できる面積が必要になるものの、家族全員にとって利便性のある玄関ポーチが実現可能です。玄関ポーチは、利便性や実用性だけでなく、将来性も検討したうえで施工しましょう。
3-3.宅配ボックスの有無を決める

宅配ボックスの有無についても「あれば良かった」と後悔することがないようにするため、施工する前に置き場所なども検討しておきましょう。
宅配ボックスがあれば、荷物の受け取りが楽になります。留守中に宅配業者が来たとしても、荷物を受け取れるようになるだけでなく、非対面でも荷物を受けることが可能です。とくに、女性の一人暮らしなどの防犯対策を行う場合に役立ちます。
大きさによっては、不在票から再配達を手配する手間が省けます。
もともと、宅配ボックスはマンションに設置されていることが多かったものです。しかし、現在では戸建てに設置する方も増えています。宅配ボックスの設置も考慮しながら玄関ポーチの施工について検討してみましょう。
宅配ボックスは門柱一体型だけでなく、利便性を追求する場合は玄関ポーチ内に据え置き型を設置する方法もあります。玄関ポーチ内に設置する場合は、宅配ボックスの大きさも加味して玄関ポーチのスペースを決めるようにしましょう。
まとめ
玄関ポーチの施工の際には、考慮するべき5つのポイントについて解説してきました。玄関ポーチの施工を検討する場合、スペースやコストなどさまざまな視点から、優先事項を決めておくと良いでしょう。玄関ポーチは、基本的には階段2-3段、タイル仕上げで作られるケースが多いものの、ニーズに合わせることが大切です。
例えば、防犯性を優先したいのか、広さを優先したいのかといったように生活スタイルやライフプランと照らし合わせながら検討していきましょう。バリアフリーに関しても計画段階で考慮しておく必要があります。
玄関ポーチの施工では、デザインや見た目の良さだけを重視せず、総合的な使いやすさを意識することが大切です。機能面として動線や利便性、バリアフリー化など、ライフスタイルに合わせて、快適に活用していきましょう。
また、ミドラスではポイントや注意点でふれた以下の内容についてよくお問い合わせを受けます。
1.手すりの設置:安全性向上
2.宅配ボックスの設置:機能性
3.目隠しの設置:プライバシー確保
4.玄関ポーチの拡張:スペース確保
上記は、新築時に反映できることがベターだといえます。しかし、どれもリノベーションで対応することが可能です。
外構工事・お庭施工のミドラスでは、お客様の理想とする玄関ポーチになるよう、外構デザインの提案や設計、工事までワンストップでお手伝いさせていただきます。どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。
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