オリーブの育て方 | コツを覚えて実つきもアップさせよう!
目次
オリーブの基本情報

- 科名:モクセイ科
- 属名:オリーブ属
- 樹高分類:高木
- 原産地:地中海地方
- 置く場所:戸外の日なた
- 耐寒性:あり。マイナス10℃くらいまで
- 開花時期:5月中旬~6月上旬頃
- (咲いている期間は1週間ほど。品種により開花時期は異なる。)
- 花色:ミルク色
- 花の大きさ:直径5㎜くらい
- 収穫時期:10月~11月(実色はグリーンから赤、紫、黒へと成熟する。)
オリーブの種類

オリーブの品種は世界に1600以上あるといわれています。
ここでは、代表的な10品種を紹介します。育てやすさ、樹形、実や葉の大きさや形、実のつきやすさ、実の使用方法など、自分にぴったりのオリーブを選びましょう。
用途別では、『テーブルオリーブ用』『オリーブオイル用』『兼用』の3種類に分けられます。
その中でも種との実離れがよい品種で果実加工用として使われるのがテーブルオリーブ(テーブルオリーブス)です。オリーブ果実を塩漬けにしたりオイル漬けにして料理に使用されます。
樹形については、スリムなタイプを直立型、横に広がるタイプを開張型と記載しました。
また、1品種でも比較的実をつけやすい品種は(自家結実性あり)と記載しましたが、他の品種が近くにあるとより多くの実をつけます。種類の異なる品種を2本以上植える事をお勧めします。
オリーブは品種が多いため、好みの品種が店頭にないこともあるでしょう。好みの品種を注文ができる場合と、流通によって入手が難しい場合もあるので、信頼できる園芸店をみつけて相談してみるといいですね。
アザパ
- 樹形:開張型
- 実:大~特大型
丈夫で育てやすく、チリで50%を占めるテーブルオリーブ生産用品種です。
アルベキナ
- 樹形:開張型(自家結実性あり)
- 実:小型
萌芽力が強く、刈り込むと密な樹形になります。開花時期が非常に早い特徴があります。葉も実も小さく、実が鈴なりにつきます。実のオイル含有量が多く、オイルは高品質です。
オヒブランカ
- 樹形:直立型
- 実:中~大型(自家結実性あり)
寒さや病気に強く、生育旺盛で剪定によって形が整えやすいので初心者にもおすすめです。実はテーブルオリーブに向いています。
コロネイキ
- 樹形:開張型
- 実:小型
耐寒性は弱めで、実や葉は小さくて可愛いです。開花時期が早く、花粉量が多く、実がつく時期も早い特徴があります。実のオイル含有量が多くギリシャのオイル生産用主要品種になっています。
シプレッシーノ(チプレッシーノ)
- 樹形:直立型
- 実:小~中型(自家結実性あり)
観賞用として日本で栽培が多い品種です。樹形がまとまりやすく、狭い場所にも向きます。耐病性が高く、実つきが良い性質で、初心者にもおすすめです。耐風性もあるので防風林としても役立ちます。実はオイル生産用に向いています。
ネバディロブランコ
- 樹形:開張型
- 実:中型
耐寒性があり、枝葉の数が多く生垣や街路樹にも向きます。花粉が多く、花期が長い特徴があります。育てやすく初心者にもおすすめです。オイルによく使われる品種です。
ピクアル
- 樹形:開張型
- 実:中~大型(自家結実性あり)
病気に強く生育力が旺盛です。スペインで栽培しているオリーブのうち、約50%を占めるといわれるオイル生産用の定番品種です。
マンザニロ
- 樹形:開張型
- 実:中~大型(丸い)
スペイン語で「小さなりんご」という意味があり、世界で最も多く栽培されている品種です。実つきも良く、樹高が低めで栽培・収穫がしやすい特徴があります。実はテーブルオリーブに向いています。
ミッション
- 樹形:直立型
- 実:中型
寒さにとても強く、樹形がバランス良く生長するのでシンボルツリーや狭い場所にも向きます。オイル用として人気が高い他、塩漬けにするとコリコリした食感が楽しめます。
ルッカ
- 樹形:開張型
- 実:小~中型(自家結実性あり)
寒さや炭疽病に強く、オイル生産用としては日本で栽培が最も多い品種です。小豆島で多く生産されています。
オリーブの土作り
オリーブに適した土とは
オリーブは過湿に弱いので、水はけの良い土に植えることが大切です。また、オリーブは弱アルカリ性を好みます。オリーブ専用の土も販売されています。
鉢植え用の土
鉢植えの場合は、培養土に小粒の赤玉土などを混ぜると排水性が良くなります。また、くん炭を混ぜるとアルカリ性が高まったり、土中の微生物が増えて土がやわらかくなります。
地植え用の土
地植えの場合は、植え付けの1ヵ月前に苦土石灰などをまいて土とよく混ぜておきます。苦土石灰をまくことで、アルカリ性が高まります。植え付け時によく耕して腐葉土や堆肥を混ぜ込んで土をやわらかくし、緩効性肥料を入れて土と混ぜ合わせます。
オリーブの植え付けと時期

鉢植えの特長・植え付け時期・植え付け方法
鉢植えの特長
- ・狭いスペースで育てられる。
- ・移動ができる。
- ・剪定して好きなサイズで楽しめる。
- ・地植えに比べて実がつきやすい。
鉢植えの植え付け時期
鉢植えの植え付けの最適期は春(3月中旬~5月中旬)ですが、根をいじらなければ真冬、真夏以外いつでも植え付けることができます。夏に植え付けた場合は、しばらくは風通しの良い半日陰で管理、冬に植え付けた場合は、しばらくは寒風や霜にあたらない場所で管理しましょう。
鉢植えの植え付け方法
苗木をポットから抜き、根鉢の肩の部分と根をくずします。夏と冬は軽くくずす程度にしておくと安心です。
ポットより一回りか二回り大きい鉢に、土と肥料を入れて植え付けます。苗木の周りにしっかりと土を入れます。苗がぐらつかないように支柱を立てて麻紐などで縛りましょう。最後に不要な枝を剪定して、鉢底から流れ出るくらい水を与えます。
地植えの特長・植え付け時期・植え付け方法
地植えの特長
- ・庭のシンボルツリーになるほど大きく育つ
- ・水やりの手間が少ない
地植えの植え付け時期
地植えの植え付けの最適期は春(3月中旬~5月中旬)ですが、真夏と真冬を避ければ通年植え付けることができます。
地植えの植え付け方法
苦土石灰をまいて準備しておいた場所をよく耕し、腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで植え穴を掘ります。苗木をポットから出し、根がまわっていたらほぐして植え穴に置いて、苗木の地上部が埋まってしまわないように植えます。苗木の周りに土をしっかり入れて軽く押さえます。太い支柱を立てて、麻紐などで縛りましょう。
植え付け後すぐは水が染み込みにくいので、苗のまわりに高さ5~10㎝ほどのドーナツ状の土手をつくるといいですね。水が染み込むまでたっぷりと水やりをします。
毎年2月頃、木の周りに苦土石灰などをまいて弱アルカリ性に保つことをおすすめします。
オリーブの植え替え

鉢植えの植え替えと鉢増し
鉢植えの植え替え
オリーブの鉢植えは、ずっとそのままにしておくと根が張りすぎて詰まり、生長が止まります。3年に1回程度に植え替えをしましょう。
オリーブの木を鉢から引き出し、根鉢の肩の部分と根をほぐします。苗木の植え付けと同じように鉢に植え付けます。
鉢植えの鉢増し
鉢増しとは、一回り大きな鉢に植え替えることです。大きく育てたい時は、一回りか二回り大きい鉢に植え替えます。同じサイズで楽しみたい時は、根と枝を整理して、再び同じ鉢に植えることもできます。
オリーブの肥料と水やり

オリーブの肥料
オリーブの肥料は、花芽が動き出す3月、実ができる6月、実を収穫した10月の年に3回与えるのが基本です。オリーブ専用の肥料も販売されています。
オリーブの水やり
土の乾燥が続くと実がつかない原因にもなります。鉢植えの場合は年間を通じで土が乾いたらたっぷり水を与えましょう。地植えの場合は、しっかりと根付いたら定期的な水やりは必要ありません。
オリーブの剪定

オリーブは、剪定によって好みの樹形に仕立てることができます。剪定することで枝数が増えて、たくさんの果実がつくようになります。オリーブの実は、昨年の春から初夏に伸びた枝につきます。そのため、実を楽しみたいのであれば、木全体を刈り込むのではなく、枝を間引くように剪定することをおすすめします。
剪定の時期
強剪定
強剪定とは、枝を短く切りつめたり、多くの枝や芽を切り落とすような剪定のことです。オリーブの強剪定の適期は1月~3月上旬です。
ソフトピンチ
ソフトピンチとは、新しく伸びた枝先の1~2芽を指先で摘み取ることです。ソフトピンチの適期は4月~6月頃です。ソフトピンチをすることで枝数が増え、実がつきやすくなります。
日々の剪定
乱れた樹形を軽く整えたり、不要な枝をこまめに剪定することで、日当たりと風通しが良くなり、オリーブが元気に育ちます。
剪定するべき枝
剪定するべき枝かわからない時は、切る前に枝を手で隠して切った後をイメージしてから剪定するかどうか決めましょう。
剪定するべき枝は以下のような枝です。
- ・枯れている枝
- ・徒長した枝(枝の途中で切り戻す。)
- ・同じ場所から複数出ている枝(1枝か2枝残して剪定する。)
- ・平行に伸びた枝(日が当たりにくい枝を剪定する。)
- ・木の内側に向いて伸びる枝
- ・下向きの枝
- ・交差してる枝(バランスを見てどちらかを剪定する。)
- ・二股に分かれた枝(どちらかを剪定するか、両方伸ばす。)
- ・ひこばえ(株元から出る枝は、地際から剪定する。)
オリーブの実

オリーブの実をたくさんつけさせるコツ
オリーブに実をたくさんつけさせるコツを紹介します。以下のことを気にかけて育ててみることをおすすめします。
- ・違った品種を2本以上植える。
- ・2本植える時は、1本は花付きが良い品種を選ぶ。
- ・鉢植えのオリーブは、土を乾きっぱなしにしない。
- ・肥料を適期に適量与える。
- ・春から初夏に伸びた新梢を刈り込まない。(実がなる枝を残して剪定する。)
- ・開花時に雨に当てない。(鉢植えは軒下などに移動する。)
収穫時期と収穫方法
収穫の適期は9月下旬~12月です。
人差し指と中指で実の付け根をはさみ、手のひらで包むように実を持ってひねるように下に引いて収穫します。
オリーブの挿し木
剪定した枝を土に挿して、オリーブを増やします。ルッカやネバディロブランコなど、萌芽力が強い品種を使って挿し木に挑戦してみましょう。
オリーブの緑枝挿し
緑枝挿しは6月に行うと成功率が高いです。
元気が良い枝の先を15㎝ほど切り取り、下葉を取って葉を3~4枚残し、切り口を2時間ほど水に浸けておきます。鉢に清潔な土を入れ、葉が重ならないように枝の2節目が埋まるくらいまで土に挿します。根が出るまでは、土がいつも濡れている状態を保ち、半日陰で管理しましょう。
オリーブの太枝挿し
太枝挿しは4月~5月に行うと成功率が高いです。
剪定の時に太い枝が出たら、20㎝ほどにカットし、上下を間違えないようにして清潔な土に植えます。枝の上部が土から1㎝以上出るようにしましょう。鉢底から流れ出るくらいたっぷり水やりして、毎日水やりを続けます。2カ月ほどで新芽が出ますが、その後に根が出るので動かさないように気を付けます。
オリーブの病害虫
オリーブは病害虫に比較的強いのですが、まれに虫がついたり、病気になることがあります。常に日頃からオリーブの様子を気にかけ、虫をみつけたら捕殺し、病気をみつけたら病気の枝を剪定するなど、早いうちに対策をとってオリーブを守りましょう。
オリーブアナアキゾウムシ
株元にオガクズ状の木屑があり、木肌がぼこぼこしていたら、オリーブアナアキゾウムシがいると思われます。ぼこぼこした樹皮をかきとって木の内部から幼虫が出てきたら捕殺しましょう。
スズメガの幼虫
株元に黒くてころころしたフンがある時は、スズメガの幼虫がいると思われます。すぐに幼虫を探して捕殺しましょう。
ハマキムシ
葉が変に巻かれたり、数枚の葉が綴り合わされていたり、実が食害されている場合はハマキムシがいると思われます。そのような葉や実を見つけたら、すぐにその枝ごと切り取って捨てましょう。
コガネムシ
なんとなくオリーブの元気がなく、生長を感じない時は、コガネムシが根を食べている可能性があります。鉢植えのオリーブを植え替える時には、土の中を良く見て幼虫を見かけたらすぐに捕殺しましょう。
テッポウムシ
幹の地際に丸い穴があり、地面にオガクズ状の木屑が落ちている時にはテッポウムシがいると思われます。穴の中に幼虫がいる可能性があるので、針金などで引っ張り出して捕殺しましょう。
炭疽病
オリーブが炭素病にかかると果実の表面に褐色の斑点ができ、斑点が広がって果実がボロボロになってしまいます。病気になってしまった実は早めに取り除き、落ちた実も拾って捨てて病気が広がらないようにしましょう。予防としては、適期に剪定をして風通しを良くしたり、肥料の窒素分を控えたり、水はけを良くするようにします。
オリーブ収穫後の楽しみ方

オリーブの実を楽しむ
オリーブの実は渋みが強く、そのままでは食べられません。オリーブの成熟度によって調理方法も異なります。
青くみずみずしい実を使い、苛性ソーダで渋みを抜くとオリーブの新漬けが作れます。苛性ソーダは劇物扱いなので、取り扱いには十分注意が必要です。
オリーブの渋みを水で抜く方法もありますが、完全に渋みを抜くことはできません。それが旨味と思える場合は、この方法もおすすめです。
また、完熟したオリーブの実は塩を使って渋みを抜くことができたり、メープルシロップなどの甘味料に漬けることで美味しくいただくことができます。

オリーブの葉を楽しむ
無農薬のオリーブの葉は、さっと煮出してお茶にすることができます。乾燥させて保存しておけばいつでも好きな時にお茶にして楽しむことができるのでおすすめです。
オリーブの枝を楽しむ
剪定したオリーブの枝を使ってリースを作ったり、小さな枝は料理の飾りやピックとしても使うことができます。
オリーブを育ててオリーブと暮らしてみよう!

今回は、シンボルツリーとしても大変人気があるオリーブを紹介しました。オリーブはきれいな銀白色の葉を一年中楽しめたり、実を楽しめることが魅力ですが、オリーブは剪定しだいで木が元気になったり実がついたりとするので、剪定の腕を上げるとさらに楽しみが広がるのではないでしょうか。ぜひ、オリーブを育ててオリーブとの暮らしをお楽しみ下さい。
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